ひと夏の国際恋愛 素敵なスイス人
私がハタチそこそこぐらいの、大学生のとき。人生の中で最もドラマチックでときめきに満ちた、嘘みたいな1週間のお話です。
短期留学をしていたことがあります。(留学というより遊学)
そこで出会ったスイス人の彼。
彼は確か当時19歳。
最初は、全然意識していませんでした。
が、ある日友達8人ぐらいで海に出かけたときのこと。
途中で帰る友達を駅まで2人で送りに行くことになり、その帰り道に不意打ちでキスをされてから、超びっくりしつつ恋に落ちてしまいました。
だってそのキスがまた超ロマンチックだったんですもん。
日本人にはなかなか真似できない技だと思うんですが、今でいう「あごクイ」でした。
私のアゴの先を彼の親指と人差し指でつかまれ、顔を上にあげられる、あれです。
全然ノーマークで、さっきまでみんなと楽しくやっていた愉快な仲間の一員が、いきなりそんなキザなモードに突入したもんだから、あまりの動揺で、心臓バクバクでした。そんな乙女扱いされたことなかったし!
「え、それは好意があるということでしょうか?それとも外国式の挨拶でしょうか…?」みたいな。もうそもそもわかんない。
ウワサには聞いていたが、日本男子と外国男子、全然違うなと。女性の扱いかたすごいなと。あと超甘いこと言う。絶賛してくれる。
「その服かわいいね」とか、「パーフェクトボディ」だとか。これは我ながらアホな話ですが、私のことを「nice taste」と褒めてくれたことがあったんですが、当時の英語力だと「え、なに、私の味?やだ何言ってんの、恥ずかしい!」と思っていました。今振り返れば「君のセンスいいね」ってことですよね(笑)
そんな英語力も未熟なアジア人を褒めまくってくれる優しくてキュートなスイス人いたら、そりゃぁ超好きになってもしょうがない!
"I've never met someone like you"みたいな言葉が1番嬉しかったです。
繰り返しですが、日本でならともかく、英語もろくにしゃべれない私は、現地ではアウェイで試合をしているようなものです。
そんな不利な状況下に置かれている私に価値を見出してくれるなんて、なんてあなたは素敵なんだと。
彼の賛辞には半信半疑ながらも、最高に嬉しかったです。
のちほどちゃんと気づきますよ、彼はお年頃だし、そうやってたくさんの女の子を口説いていたんだろうということに😅
でも当時の私は、いちいち真に受けて舞い上がってました(笑)
自分より年下なのに、英語も上手。さらにマルチリンガル。
スイスという土地柄上、彼はフランス語を母国語とし、隣接する国々のドイツ語やイタリア語などもある程度話せる。かっこいい、尊敬。
私より長く現地にいたので、結構その土地の案内をしてくれたり、すごくエスコートが上手だったことも素敵。
たどたどしく英語でうまく表現できない私に、優しく"Take your time☺︎"って言って安心させてくれる優しさも。
若くして将来のやりたいことも決まっていて、夢を語り、世界をよく旅していて尊敬できるところも。
全部大好きでした。こんな完璧ボーイが世界にはいるのか!と、そして私を好きになってくれるなんて奇跡あるのか、と震えました。
彼と2人で過ごした1週間は私の人生の中で最もドラマチックでときめきに満ちた、嘘みたいな1週間でした。
素敵な思い出をありがとう。
ひとつ悔やまれること。
当時私は日本で付き合っている人がいて、そのことも彼に伝えていたので、当時もその後も付き合うには至りませんでした。
ただ帰国前に、一度だけ彼のシェアハウスで一晩過ごすことになった日がありました。
彼のことはすごい好きだったし、その先への好奇心もありましたが、ただ、さすがに浮気はいかんと思って、一線は超えませんでした。
が、帰国してすぐ、当時の彼とはちゃんと別れたので、あぁあの時一線超えておけば良かったとは思ってしまいました^^;
帰国後は、お互いの誕生日や、年末年始等にメッセージを送り合う程度のつながりでした。
でもそれも時間と距離には勝てず、つながりは年々薄れていきました。
もう何もないだろうし、青春の1ページとして、心にしまおう。
数年その状態が続きました。
ところが、青春の1ページに、続きが書けることが起こりました。
人生っておもしろい。
つづく